観劇記録

第二弾『時をかけ・る 〜LOSER〜』 感想

注意

ネタバレ有の感想記事で
前作の「時をかけ・る」やその他のる・ひまわり作品に関してのネタバレもあるかもしれません

はじめに

時をかけ・る 〜LOSER〜第二弾(#時る2)についての感想記事です。

前作の時る無印から早1年半後、「幕末維新」をテーマに行われた2085年度の歴史研究発表学会。
今年はなんと年末祭がないということで、実質年越しをする勢いで観劇に臨みました。

いや~めっちゃ良かったです。
時る2のお知らせを見た時に、無印とスピンオフの羽州の狐がとても素敵な舞台だったこともあり、「この期待を超えるのは難しいのでは?」と正直思いましたが、杞憂でした。超えてきましたよ、恐ろしいくらいに。
無印のときから個人的に「本当に良いんですか!?」というくらい贅沢な舞台だと思っていますが、もう本当に豪華すぎる。おいしい!!ご馳走さまでした。

言いたいことは沢山あるのですが、いつまでたってもまとまる気がしないので備忘録的な感想を書くことにします。

それと、初日の客席開場がごたついたとき、列整形をしていたスタッフのお姉さんが分かりやすく誘導していただいたお陰で、大きな混乱もなく綺麗に整列できました。ありがとうございました!

舞台概要

期間:2025/10/30 (木) ~ 2025/11/04 (火) 
劇場:
Club eX (東京都・品川プリンスホテル内) 
上演時間:約120分(休憩なし)

チケット料金:
 全席指定………11,000円
 全公演通し券…110,000円

脚本:赤澤ムック
演出:平野良

(※下記敬称略)

出演:
 安西慎太郎
 木ノ本嶺浩
 松田岳
 前川優希
 内藤大希
 平野良

スタッフ:
音楽: オレノグラフィティ、美術:秋山光洋、照明:高山晴彦、音響効果:天野高志、音響:田中嘉人、映像:手代木梓
振付:当銀大輔、殺陣:渥美博、歌唱指導:水野里香、衣裳プランナー: 菅谷みにいEIKI、ヘアメイク:西村裕司(earch)、演出助手:中島一博、舞台監督:中西隆雄
演出部:小川陽子/杉山小夜/柿沼依子、照明スタッフ:奥出利重子/加賀谷彰/岡部歩美、音響スタッフ: 仲根綺乃/原村友梨奈/野瀬夏海、映像スタッフ: 鷲見友希/大西遵、衣裳スタッフ: 宇佐美和香/川辺祐里奈/丸山弥子、ヘアメイクスタッフ: 杉田智子 (earch)/神田愛美(earch)、音楽協力:絢屋順矢、ミキシングエンジニア: 鏑木知宏、アンダースタディ: 池田怜央、大道具: イトウ舞台工房、衣裳:溝口貴之/東京衣裳
メビミュ衣装製作:横田裕二、ウィッグ: earch、小道具:高津装飾美術、電飾:小田桐秀一、運送:マイド
宣伝写真:福岡諒詞、宣伝美術:森田悠介
SPECIAL THANKS: 大山真志/ORENOTE
運営:SCARLET LABEL、票券:高橋郁未、制作:山内未央
プロデューサー:千葉裕子、エグゼクティブプロデューサー: 林三代子
主催・企画製作: る・ひまわり

各作品について

今作は無印の5作品に加え、平野所長の発表も含めたA~Fの計6作品でした。
ひとつの公演でこの6作品のうち3作品を上演するスタイル。(+オープニング&エンディング)
演目が盛沢山すぎて、全部観れるように日程を組んだはいいものの、「次何観るんだっけ??」と頭の中がこんがらがってたまりませんでした。
(きっとキャスト・スタッフの皆さんはもっとたまらなかったんだろうな・・・と)

無印もそうでしたが、各々全く別の舞台という感じで違いがはっきりしていたので、本当に贅沢な舞台だなと思いました。(何回も言います)
以下、各演目の感想です。

A:安西研究員担当/ストレートプレイ「INU」

配役:岡田以蔵いぞう(安西慎太郎)、板垣退助(前川優希)、武市半平太たけち はんぺいた(平野良)、山内容堂ようどう(木ノ本嶺浩)

ホラー作品を観たときの寒気を感じる余韻のある作品でした。
やっぱり闇のある安西さん美しいですね。最後のシーンの笑い方が良すぎました。(鳥肌)

無印のA「安国寺恵瓊『嗤う怪僧』」と比べると大分マイルドな絶望感ではありました。
自分から見て恵瓊どのはかなり「人間らしい」人だったけど、今作の以蔵さんは俗っぽい言い方をすれば「純真なサイコパス」という印象で、多分あまり感情移入ができなかったから絶望感も薄かったのかなと思いました。
考え方というか芯の部分が違い過ぎて可哀想と思える程の共感を彼にできなかった気がする。

これは自分の感想ではなく引用になりますが、終演後に他のお客さんの話がちらっと聞こえたときの一言。
「犬は犬の言葉しか分からないから板垣の心が分かったんだ。」
という言葉を聞いて発狂するかと思いました。そういうことか!全然気が付かなかったよ……
あまりにもじゃないですか?聞いてる?板垣どの・・・
エグめのボディブローを喰らった気分です。(気づかせてくれてありがとう、名も知らぬお姉さん!)

武市先生が不憫すぎると思いつつ、本人が言っている通り育てたのは先生だからな。。
むしろ、武市先生という人格者が主人だったのが良くなかったのかも、とすら思える。
逆に以蔵さんを利用しつくそうとする悪意ある人が主人だったほうが”周りが”幸せだったのかもしれない。

全て知った上で改めて観ると、かなり印象が変わると思います。

B:木ノ本次長担当/傍白劇「交渉人勝海舟」

配役:勝海舟(木ノ本嶺浩)、西郷隆盛(内藤大希)、山岡鉄太郎(安西慎太郎)、徳川慶喜(前川優希)

面白い!!
舞台の面白さがぎゅっと詰まった、見事にまとまった作品でした。

木ノ本さんはやっぱり語りというか独白が良いですよね。。
世界を広げてくれる語り方で惹き込まれます。

交渉のシーンすっごくハラハラドキドキしました。
派手な動きがあるわけではなく、椅子に座って静かに話しているだけなのに、お芝居と語りの力で情緒を揺さぶってくる。凄い。

慶喜どのに椅子押させてたのには笑っちゃいましたが笑
前川さんの慶喜どのもめっちゃいいキャラでしたね。。
篤姫さまの品のある色気もとても素敵でした。
勝先生と相対するは西郷どのでしたが、どっしりと構える内藤さんの圧も良かったです!

交渉のとき、独白のとき、山岡さんや篤姫様に語るとき。全部それぞれの情景が見える語りで、本当に舞台というかお芝居って凄いなと思いました。もう魔法じゃん!
手に汗握る知能戦でした。

C:松田研究員担当/エンタメ活劇「壬生の天狗」

配役:芹沢鴨せりざわ かも(松田岳)、平山五郎(木ノ本嶺浩)、沖田総司(前川優希)、土方歳三(平野良)

殺陣、かっこよすぎる。
昨年末の「る剣」の前日譚のような作品でした。

松田さんは背が高くお顔が整っているので、圧というか覇気がありますよね。
なんか怒らせちゃいけないタイプの覇気。
笑顔が綺麗すぎて怖いときがあるので、本当に「強者」が似合うな方だなと改めて思いました。

まさか前川さん演じる沖田さんの「トシさん」呼びが聞けるとは思わず。(しかも土方さんも平野さんて!)
実際る剣本編には松田さんはいなかったわけで(ゲスト出演)。
その理由が芹沢さんが殺されていたから。ということであれば辻褄は合うし、る剣と世界線同じなのかなと思って勝手にドキドキしてました。懐かしいね。

芹沢さんの豪胆さと腕っぷしの強さ、カリスマ感がすごかったです。
平山さんとのバディ感がすごく好きでした。
盛大な花火と共に2人で散る最期はとても美しかったです。
新選組に見切りを付けられたとは思いつつ、独りではなく慕ってくれる人と共に戦って散ったのは、彼にとっては幸せだったのかもなと。

かっこいい生き様でした。

D:前川研究員担当/3.5 次元ミュージカル「明治美譚葵編」

配役:西郷隆盛(前川優希)、大久保利通(松田岳)、西郷従道つぐみち(内藤大希)、斎藤一ほか(安西慎太郎)

これは圧倒的問題作(良い意味で)。初見の衝撃がとんでもなかった笑
このD作品が一番パワーアップしてたと思います。
存在しない乙女ゲームの舞台版「メビミュ」。
・・・存在しない乙女ゲームって何????改めて振り返っても謎過ぎる。

ただ正直、これはマジで新しい舞台の形かもしれないと思いました。
モニターの使いかたといい、カットインや唐突にこちらの存在を知覚して問いかけてくる演出だったり、、
メタ演出大好きすぎる自分にとってはめっちゃ刺さりました。

普通、ゲームの舞台化とかって「ゲームの中の世界を3次元に顕現させる」じゃないですか。(多分)
それを敢えてゲーム内の演出自体を3次元に持ってくることで、ゲーム画面の「中」がすぐそこにある状態にさせるような演出でめっちゃいいなと思いました。
かなり言語化が難しくて何言ってるか分からなくなってきたけど、つまり第四の壁を敢えて存在させてる、みたいな。(例えるなら、DDLCのタイマンモニカちゃん状態(伝われ))
まぁ最も、自身が乙女ゲームやアイドル系ゲームについて門外漢なので新鮮に感じただけなのかもしれませんが。全体的に凄い良い演出だと思いました。
実際乙女ゲームあるあるって感じの演出だったんですかね?

そして皆さんビジュが良すぎる。凄いや。
特に前川さん、松田さんのキラキラ感は凄かったな、、久しく浴びてないけど「これが.5か!」と思いました。

従道どの、今までに見たことない内藤さん過ぎてびっくらぶっこいた。
ド真面目にあの狙ったタイプのキャラクターを演じるの、流石プロだなと思いました。
まとめ歌の
「西南戦争は、この国最後の内乱となったよ。そう言い続けるために僕もつないでいく。」
の歌詞が胸に刺さりすぎて。
過去から続く系譜の上に「今」があることを忘れずにいたいと思いました。

一どの、安西さん。
あの奇抜な緑髪めちゃめちゃ似合ってましたね。。
カウントダウンの謎ソロもあってキャラ的に一番好きかも笑
博文どのとの絡みのシーン好きです。

博文どの、平野さん。
キャラが濃すぎて爆笑でした。公演前アナと千秋楽もやばかったな・・・
全力でふざける側に回る平野さんがかなり好きなので、助かりました。

木野嶺子女史、バリキャリ感凄かったです!
大久保卿に「目障りだ」って言われたとき誠に遺憾()だったのですが、嶺子先輩が「目障りじゃない!」と言ってスワイプしてくれて「せ、先輩!!」状態になりました。

そして、あの最期のシーン。
松田さんの腕の中で息絶える前川さん。
ズルいよね。色んな意味で泣いちゃったよ。
この構図が美しすぎるのと、多分これが自分の見たかった景色なのかもなと思って。。
年末W座長の幻覚を見ました。

総じて満足感と中毒感が一番高い作品でした。
初日の破壊力凄まじく、お客さん側が若干適応できていなかったけど、千秋楽はもう適応していましたね笑
これは持論ですが、「3.5」は3次元と4次元の間という意味ではなく、3次元に2次元のメタを足した”3+0.5″の加算方式なんじゃ?とか思いました。
・・・自分でも何言ってるか分かんないや。とにかく楽しかったです!

E:内藤研究員担当/グランドミュージカル「将軍」

配役:徳川家茂いえもち(内藤大希)、徳川慶喜よしのぶ(平野良)、孝明天皇(木ノ本嶺浩)、和宮かずのみや(松田岳)

泣いた。そして普通にシンる無印の幻覚を見ました。
因縁を越え、難題に立ち向かう内藤さん平野さんのコンビなんてもうね、、鎌倉じゃん!!
この二人が組めばどんな逆風にも立ち向かえるんだから!!!
自分はるひま時空の輪廻転生を信じてる。というか実際この目で見てるので、毎度感慨深いものがあります。

そして和宮さま、本当に素敵すぎる。
1列目で見たときに(最早幻覚かもしれないが)和宮さまに結構長い間微笑んでいただいて、普通に惚れるかと思いました。危い!!
微笑まれた瞬間、和宮さまに優しくしてもらったありもしない過去回想が生成された。
それくらいあの微笑みが可憐すぎて・・・なんか本当に”護りたい”と思いました。
冷静に考えて、ウィッグと衣装は女性的でも、バチバチにメイクしているわけでもなく体格も男性らしいのに、純真無垢な乙女にしか見えなかったのが凄まじい衝撃でした。
芹沢さんを演じてた人とは思えん。完全に心臓を掴まれました。

家茂どのも和宮さまも辛すぎる。そして家茂どのの遺志を継ぎ決意する慶喜どの。
この覚悟が美しかった。
すごく個人的な意見ですが、シンる無印も実はこっちが正史なんじゃない?と思う位にはしっくりきたというか、完成された結末でした。(実際、あのシンる世界でも頼朝どのが旅に出たことをを知らない他の人から見たらこう見えてるのかも。)

内藤さんはやはり、心を揺さぶる素敵な歌声をお持ちだな・・・と思いました。
ラストの余韻が美しい作品でした。

F:平野所長担当/タイムリープ「何度繰り返しても薩長同盟が結べないんぜよ!?」

担当:坂本龍馬(平野良)、中岡慎太郎(安西慎太郎)、大久保利通(松田岳)、木戸孝允たかよし(内藤大希)

待望の所長の研究発表。シリアス系?と思いきやコメディでした。

平野さん安西さんコンビ好きなんですよね~(そっかこれ「る変」コンビか!)
会談の最中に龍馬どのが2人を説得してるときの中岡どのの表情が本当に嬉しそうでとても好きでした。
こっちまでニコニコになった。

大久保どの、最早笑えるくらいのスタイルの良さ。マントが似合いすぎです。
抜刀後の殺気と場を掌握する存在感が流石だと思いました。

木戸どの、あれは歌唱の暴力です。声量パワー。めちゃめちゃ笑っちゃった笑
「感謝感激雨あられ~!!!!!」声量とスイッチの入った勢いが凄すぎて爆笑。
あの歌を3回も聴けるなんて贅沢すぎます。

龍馬どのの緩急がこの作品を絶妙なコメディにしてると思いました。
やっぱり平野さん本当にお芝居がうまい方だなと。。
そりゃあ何回もループすれば早送りもスキップ機能も会得できるよな!
無事にミッション完了した後にさらにタイムリープするの「おいおいおいおい!!」ってめっちゃツッコミ入れたくなりました。

爽やかな気持ちで笑える、面白い作品でした。

エンディング曲

突然のMASASHI OYAMALE TAKE
初日の衝撃を覚えてる。”MASASHI OYAMA”の名を聞いた瞬間、幻聴かな??と思ったけど幻聴じゃなかった。
しかも初日にB:壬生の天狗は上演されなかったので、みんな本当に初耳で。

大山さんを知らない・るひまとの接点を知らない方が見たら「え?誰?????何????」で終わるんだからとんでもリスキー演出ですよ。
流石にるひまのファンを信じすぎている笑
あと巻きの時用にショートバージョンもありましたね笑
いい曲でした!

総括

「はじめに」でも書きましたが、前作を越える素敵な舞台でした。
やっぱり自分はるひまさんの作品・現場が好きなんだなと改めて実感しました。
全部違う色の作品をこのクオリティで楽しめる盛沢山詰め合わせセットのような本舞台。マジで贅沢です。

唯一、個人的に少し残念だった点は、繋ぎがラジオになったことです。
所長が発表に参戦したことで、人手が足りないというか生で繋ぐのはリソース的に無理なんだろうな~というのは重々承知しているのですが、やはり舞台を観にきている身としては、映像を見るだけで「生」感が欠けてしまったのが残念でした。
もちろん、ラジオはラジオで面白かったですよ!
ただやっぱりちょっと寂しいかなと思いました。
(円盤で観ると違った感想になるかもですが)

今年は年末がないので、実質年末公演でしたね。
時るがシリーズ化したのはとっても嬉しいし、未来永劫続いてほしいと思います。年一で
本当に、楽しい舞台をありがとうございました!
来年末まで冬眠しようかな。
皆様よいお年を!

タイトルとURLをコピーしました