観劇記録

『ENGRAVE DREAMS』 感想

注意

ネタバレ有の感想記事です。

はじめに

ENGイーエヌジー第23回公演「ENGRAVE DREAMSエングレーブ ドリームス」(#エンドリ)についての感想記事です。

前作の九龍の玉漿に続き、二度目ましてのENGさん。
個人的に前作がかなり胸を抉られるというか、憎悪にも似た暗い感情を呼び起こした作品だったので毛色が全く違う作品でちょっと安心しました笑。
(感想書いてないけど九龍もめちゃ面白かったです。殴られたような衝撃を受けました。)

本作は「進戯団シンギダン 夢命ムメイクラシックス」さんのメンバーも総出で参加されていたようで、作演も主宰である伊藤マサミさんというとても豪華な構成でした。

舞台について

脚本について

本作品の上演時間がなんと「休憩なしの2時間20分」ということでだいぶ重いなと思っていましたが、始まったらあっという間でした。
現実と小説世界のマルチバースで滑らかに進んでく舞台。

2時間20分だとは思えないほどダレずに見れました。すごい!
あれだけキャラも多くいたのに、存在が謎のキャラやシーンが無かったもんね。
ひぐステ・うみステでも分かっていましたが、やはり構成がうますぎる・・・。

セットについて

段差も坂も壁もある凝ったセット!好きです。
開演前に客席から見えたのは、人々に忘れられた白くて神聖な遺跡のような、まさにファンタジーの世界を思わせる空間でした。
けれど、その中心には小さな机とあたたかなルームライト。
空間がそこだけ切り取られているような、現実と非現実の対比が美しくてすごい好きでした。

シーンについて

佐伯さんによる今までの説明シーン

佐伯さんが「双国のフロンティア」の今までの内容を説明してくれる、という体で今までの小説の内容が劇中劇として実際に出てくるシーン。
小説の読者と同じように物語を追体験していくことになる。

「双国のフロンティア?なにそれ?」の状態から数多の展開を経て、いよいよ「これからどうなる!!!」ってシーンで説明がが終わり、突然現実へと引き戻される。

その瞬間、舞台の観客もまた、作中の「読者」と同じように、
物語の途中で放り出される未完結のもどかしさと、続きを読みたいという衝動をそっくりそのまま体験することになる。
この二重構造に見事に嵌められて、なんか最早悔しかった笑
そりゃあの場面で更新止まってたら、そりゃ待つよね!(もちろん自分も!)という感じで美しすぎる構成。。

脱稿~結婚式の動画のシーン

ありえんくらい泣いたな。
「隣の人に気づかれないよう無言で泣く」というスキルを習得している自分でもめちゃめちゃ震えてたくらい泣きました。
拓海くんの周りの人たちがあたたかすぎて。

拓海くん、恵子さんが病院にいる時に会いに行かなかったの絶対後悔してるんだろうな。。
最初の方からずっと気になってたけど、恵子さんの死因は突然死とかではない緩やかな死で、それに寄り添わなかったのはあくまでも拓海くんの選択だから。責任は完全に自分にある。
それに耐えられなくて逃げて、最後の贈り物も捨てようとさえした。
それを止める夏美ちゃんよ・・・涙。
「私を変えてくれた。だから拓海も変わらないと!」(うろ覚え)的なセリフ、めちゃ泣いたな。
夏美ちゃんにはマジで幸せになってほしい。

登場人物について

みんな素敵だったなぁ。下記は中でも特に印象に残ったキャラクター・キャストさん方です。

井上拓海(小早川俊輔さん)

一旦終わりまで書き上げたあと、担当の佐伯さんに「死ぬつもりだろ。」って言われた時の拓海くんの雰囲気が非常に良かったです。
本当にそんな人間の雰囲気だった。諦めと少しの救いを求める気持ち。

最後の方で逃げずに踏みとどまって、向き合ったことで強さを得たんだな。
拓海くんには幸せになってほしい。気が付けてないだけでもう幸せなのかもしれないけど。
やっぱり作家は己を切り売りしてる商売なんだなぁ。。(寺山修司氏もそんな感じの事言ってた!!)

小早川さん、テニミュとるひまでよく拝見しておりました。
本作殺陣することあるかな?と思ったら無かったです(それはそう)
(小早川さんの殺陣、めっちゃかっこいいんですよね。)

佐伯真人(石部雄一さん)

あったけぇ人・・・全然自分作家さんじゃないんですが、担当になってほしいです。マジで。笑

拓海くんが最初に渡したエンディングを佐伯さんが良しとしなかった(多分良しとしてなかった)のは、拓海くんが救われて欲しいと願ったからかな。とか思いました。
双国の一読者としては()あの一旦書き上げた両名死亡の結末でも美しくて大好きなんですけどね。

拓海くんは主人公の悠馬とヒロインのレナに自分と恵子さんを重ねているから、あの結末じゃ救われない。
彼と彼らの結末はハッピーであってほしいという願い。。

そしてあくまでも拓海くんの意思を尊重する姿勢が本当にあたたかい。
あの距離感がとても良くて、拓海くんは佐伯さんにもかなり救われてきたんだろうなと。

石部さん、九龍の玉漿でもあったかいキャラだったのでそういうイメージがついてしまいました笑。
人情を感じるお芝居が素敵です!

海野恵子(舞原鈴さん)

拓海くんのことを誰よりもよく理解していて、愛していて、傍で支えていた恵子さん。
もういないことは最初の方から察してたけどやっぱり泣きました。
あたたかすぎる。。。

舞原さん、本当に笑顔が素敵であたたかくて「愛」を感じます。
これからのうみステも楽しみです・・・!

アギト/林本(橋本全一さん)

アギト、その風貌とその武器はズルい!かっこよかったです。
キレのある動き最高でした。

林本さん、拓海くんをライバル視してた作家さんですがこの人も別ベクトルのあたたかさを持っているというか。
クールな感じだからそれが分かり辛いだけで、高尚な精神の持ち主なのかなと。
VTuberリンリン。どシリアスなシーンであの緩急、拓海くんと全くおんなじ反応しちゃいました。
真実の衝撃と「え、死のうとしてた人間に今そんな話する??」という気持ちが同居してて面白かった笑。
なんだかんだで拓海くんと仲良くなってたらなんか嬉しいかも。

傭兵集団「モズ」/芹崎・斎藤・氏城(芹澤良さん・伊藤マサミさん・氏家蓮さん)

小説世界の傭兵集団。殺陣がかっこいい!

現実世界では拓海くんの同僚。
最初飲み会の席で、拓海くんの小説を茶化したりするのかな~と勝手にヒヤヒヤしてたら全然そんなことなかった。
むしろその逆で拓海くんの夢を心から応援してくれる、そんな優しい人たちでした。
自分の夢を臆さず言えて、それを茶化さず応援してくれる。その関係が素敵で羨ましくもありました。

あとは単純に、キィのその後が気になります。。(助かったと思ってるけど)

感想

何回も原稿を書き直してるからゴミ箱はいっぱいだし、別世界線でおんなじシーンを繰り返してる。
諦めない強さによって運命を変える!という軌跡がもうね、大好きに決まってます。  
殺陣も皆さんかっこよかったですね・・・素敵!

夢は諦めなければ叶うし、願いも祈りも届く。
諦めずに選択をし続ければいつかは辿り着く。そう信じられるような作品でした。
面白かったです!

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